どこかの誰かの役に立てればうれしい情報を人柱になれればと願うプログ

Deep Sea Blue

日記

『どうする家康』号泣するドラマだった

更新日:

NHKの大河ドラマ『どうする家康』が17日に最終回を向かえた。過去一の低視聴率だとか色々と報道されてはいたが個人的には毎回日曜日が来るのを待ち遠しくとても楽しめた一年だった。最終カットは徳川家康が未来に見る姿はスカイツリーを抱える東京の空であることも話題であった。又歴史好きには有名であろう徳川家臣団の一人一人のエピソードや人物像は過去に今一つドラマに出なかったが、今回の大河ドラマで一般の歴史に興味ない方にも徳川家臣団の一人一人の活躍が広まったのではないだろうか。

knisk
knisk

歴史好きしか大河ドラマ見ないと言う説もあるがw

一年を通して何回も繰り返し見ては見る度に毎回泣かしてもらった回も沢山あり、それも頬を涙が伝わる程度のものではない。毎回嗚咽を伴うくらい大の初老のジジイがしゃくりあげて泣くのである。見せられたものではない。最終回も号泣して嗚咽と涙が止まらなかった。

一言では言い表せないが、過去徳川家康は数えきれないくらい映画やドラマになった題材ではあるがそのどれもの演出がしっくりこなかった。偉人であるのは確かだが史実のポイントで「なぜそんな行動を取ったのか」が不思議であり、人間味が感じられなかったドラマが多かった様に思えた。当たり前だが僕は徳川家康ではない。でも家康なら、人なら「ここはこうする、こう思う、のが至極当然」と言う事がどこか御座なりでキッチリ表現された脚本が多くなかったが『どうする家康』では「そうそう、そうなんだよ」と思う至極当然な迷いが表現されていて、新しい徳川家康像と言うよりは本当の徳川家康像であったと思えた。その事も感情移入できたのだろう。

もう一つは家臣を第一の宝とする家康。そんな家康の人柄に慕う家臣団の纏まり。長きに渡る平和で安定した世を作るには突出した才能は不要であり、和を実現させるには偉大なる凡庸であること。又研鑽を怠らない努力の人の美しい姿が描かれるなど、僕がそうであって欲しいと願う気持ちときっとリンクしたのが号泣するほどはまった理由だろう。

特に音楽を担当されたピアニストの稲本響さんの楽曲『サウンドトラック』の『慈愛』に引っ張られた所も多々ある事も付け加えたい。この楽曲が流れるシーンは必ずといって良いほど涙する。涙を誘う素晴らしい楽曲だ。

knisk
knisk

号泣したけどね

細かく語るポイントは数あれどこの物語は一枚の絵から始まってそしてその絵で締め括られていると思う。その絵とは徳川幕府三代将軍の『家光公』が書いた『兎図』。家光の研究はここ数年飛躍的に広がり次第に家光公の姿が解明されているという。この『兎図』もここ数年前に京都で発見されたもので、昨今の研究結果と重なり家光の人となりをよく表している。

日本的な特徴である筆文化から影響され現代のアニメにまで通ずる日本的感覚の真髄『輪郭を描く』と言う事をせずリアルに見たままを体毛の一本一本まで描こうとする、近年解明されつつある「生まれながらにして将軍」である家光の苦悩と重なり感慨深い。

話しは戻すが、『兎』から始まると見せるのは、徳川家康幼少期の竹千代と呼ばれていたシーンで手彫の『兎』彫刻を手にして遊ぶ徳川家康が印象的。

knisk
knisk

今から思えば主演の松本潤さんの演技は振り切っていたと思う。

その後も終始『白兎』がキーワードとして作中に多く使われている。

そしてラストシーン、徳川家康の跡継ぎとなる家光、幼少名は家康と同じ竹千代が不思議な面白き子として扱われ、家康の忌の際、御簾の外から家康の枕元に座る瀬名や信康を畏怖かしげに覗く表情。「上手く描けた」とじじ様に渡した一枚の『絵』そこには『兎』が描かれていた。家光が書いた兎だ。

knisk
knisk

家光には瀬名や信康が、きっと見えていたに違いない。それを見る瀬名と信康の表情も素晴らしい。子役の潤浩(ゆんほ)くんの表情や羽織をたなびかせて歩く姿も素晴らしい。

このドラマに出てきた『兎』の絵は史実のものではないが(おそらく版権などの大人の事情なのだろう)それを見た瀬名が「案外見透かされているかも」と家康が神ではない只の兎だと労をねぎらい一生を終えていく。凄絶でドラマチックな人生を歩んだ徳川家康の生涯と『兎』が重なってとても楽しめた。今も思い返しただけで泣けてくる。

脚本は古沢良太さん。僕は知らなかったのだが最近では『コンフィデンスマン』の脚本をされている方で始まりは少々コミカルな出だしで始まった『どうする家康』だが中盤終盤には根底に流れるとテーマ『平和』『戦争』そして『今の日本社会』がクローズアップされるストーリー仕立て。年齢も50歳と社会のバトンタッチの年代としては少々若いが、今の日本や戦争について思想としてちりばめられた素晴らしい脚本だと思う。印象的なセリフとして、

最後茶々が炎の中で発する日本国の民の未来「「優しくて」「卑屈で、弱き民」の国」になることであろう暗示。たらればであるが豊臣の世が続けば今日の日本は今とは随分と違った社会になっていたかもしれない。

又、戦国時代は『戦』が何かと華々しく描かれますが、徳川家康が大阪攻めの際に放った

もっとも愚かでもっとも醜い人の所業じゃ

秀忠に大阪攻めの大将をさせなかった理由として

ただの人殺しの術」なんぞ覚えんでも良い

等、わかりやすく印象的なセリフが多く、戦=戦争(人殺し)と言う事をセリフとして、多く使用していたのも何かと考えさせられた。

最後に所々このセリフをこのタイミングで、このキャストが言うのかぁと、登場人物とセリフが合致しない事も無いとは言えない。特に最後茶々がそのセリフを言うのはどうかと思ったり、瀬名と家康の関係は随分と違う解釈があったりと、気に入らない所もありはするが、最新の研究結果を織り混ぜながら大筋では本当の徳川家康はまさにこうだったのでは?と思わせる2023年の大河ドラマ『どうする家康』とても面白かった。

既に何回も見ているが、覚えるまで何回でも見てしまいそうだ。

-日記
-, , , , ,

Copyright© Deep Sea Blue , 2025 All Rights Reserved Powered by STINGER.